めずらしく、夜眠れないで、寝床に入りながらぼんやりと外の音を聞いていた。
今の家は線路からほど近く、電車の音が常に聞こえる。しかし、終電が通り過ぎた後はひっそりとしている。
小学生の時住んでいた家は、すぐ裏が田んぼだった。
田んぼに水が張ってある間は、夜になるとカエルの大合唱。そして、秋になると今度は虫の大合唱。
母親はいつもうるさくて眠れないとこぼしていたが、私は気にしたことがなかった。逆にカエルの声が聞こえない方が、違和感を感じた。
だから、中学になって引っ越した家では、はじめのうちそれが気になってしかたがなかった。
その家が面していた道は幹線道路の抜け道になっており、年がら年中トラックが通るような道だった。
もともとそんなに強固な土壌ではなかったらしく、大型トラックが通ると家が揺れた。昼間は気にならないのだが、夜トラックが通って家が揺れると地震かとよく勘違いしたものだ。
独立してから住んだ家はちょうど S 字クランクの終わった所にあった。
その道のコーナーの途中にマンホールがあった。マンホールの上を車が通る時、車に横 G がかかっているので、マンホールの上ですべってキュッという音をたてる。
特に雨の日は、キュッ、キュッと音を立てて通っていく車が多い。
うつらうつらしながら、そんなことを思い出していた。
そんな時、家の前をトラックが通った。一瞬、自分が学生の時に住んでいた家で寝ているような錯覚に陥る。
目を開いたら、やはり今の家だった。
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