歩き方が気になるのです。
いや、自分の歩き方ではなく、人の。特にヒールを履いた人の歩き方。
ヒールでキレイに颯爽と歩ける女性はカッコいいですよね。でも、そういう人は少ないような気が...
ヒールってどう考えても物理的に安定しないのは確か。自分でヒールのある靴を履いたことがないので、実感はないのですが。
だって、普通にあるいたら、着地する時にヒールは斜めになるわけです。
スニーカーとかであれば、ソールが柔らかいので、地面からの応力をそのままソールで受け止めることができます。でも、ヒールだと、応力をそのまま受け止めることができず、力がヒールの付け根方向とヒールの付け根を支点にした回転力になるわけです。
青い力がベクトルの分割されて赤い力になるわけですね。
これじゃ、普通に歩くのはむずかしい。
で、よくいるのが、ヒールですり足の人。
ひどい人になると、すり足をするために膝が曲がったままで、まるで能とか狂言のような歩き方をする人。しかも、安定が悪いので、歩幅が狭く、ちょこちょこと歩いている人がいますねぇ。
ヒールで安定が悪くなるのは垂直方向の力が、回転力に置き換わるから。だったら、地面と垂直に足をおろせばいいんです。
ここで話しはがらっと変わります。
櫻庭はファッションショーを見るのが好きなのです。パリコレとか、ミラノコレクションとか。オートクチュールでもプレタポルテでも、見るのが好きなんです。
とはいっても、ほんとにファッションショーの会場にいったことはないんですけどね。
まぁ、それはそれとして。
テレビでファッションショーを見ていると、なんか違和感を感じることがありました。つらつら考えるに、その違和感はモデルさんの歩き方にあったんです。
見たことがないひとも多いと思うので言及しておきますが、ファッションショーのモデルさんの歩き方は、いわゆるモンローウォーク的な歩き方はしません。なんとなくイメージ的にモンローウォークしそうな感じがしますが...
服を見せるのが第一義なので、過度な演出は控えているのかもしれません。よくわかりませんけど。
どちらかというとユニセックス的ですね。
で、どこに違和感を感じたのかというと、足を上げた時の膝の位置なんです。日本人の感覚からすると、かなり高い位置まで膝が上がるんです。
いうなれば、深い雪の中を歩く時に、足を雪からズボッと抜いて、雪を踏みつけるように振り下ろしますよね。そんな感じ。
普通の歩き方は足の付け根が中心になった回転運動 (厳密にはちがいますけど) ですが、モデルさんの歩き方は回転運動ではなく、とても直線的。
そんな歩き方をしているため、膝が高く上がるんです。
なんでそんな歩き方をするんだろうと、寝る間も惜しんで考えたわけです。で、はたと気がついたのです。
普通、何の気兼ねもなしに歩いている時は、左足の軌跡と右足の軌跡は離れています。でも、モデルさんたちは軌跡が重なるんです。
よくいわれる 1 本の直線の上を歩くというやつです。
でも、左右の足が同じ直線の上を歩くということは、普通の回転運動ではもう片方の足が邪魔になってしまうのです。
それを回避するには、腰を中心とした水平方向の回転を加えればいいのではないかと思うわけです。つまり、垂直方向の回転と水平方向の回転の 2 つの回転を使って歩く方法です。
なんとこの歩き方は競歩の歩き方なんだそうです。競歩も 1 本の直線の上を歩いているなんて全然知らなかったですよ。
しかし、水平方向の回転が加わるため、着地する時は靴の外側から地面に着きます。だから、競歩の人は靴の外側が減るのが早いのだそうです。
で、もう 1 つ邪魔な足を避けるには、上から足をまたげばいいわけです。これがモデルさんの歩き方だったわけですね。
だから、膝の位置も高くなるわけです。
しかもこうやって歩くと、ヒールが着地する時に、地面に垂直になるので、安定もいいのです。
ただ、足をクロスしながら歩くので、その点はちょっと不安定。実際にはモデルさんは垂直にひざをあげて、あげきったかきらないところで、すっと内側に膝が流れるような歩き方をしています。
でも、別に一本の線の上を歩く必要はないわけです。それができるにこしたことはないと思いますけど、そこまでやる必要もそんなにないかなぁ。
いつもより、ちょっとだけ膝をあげて、直線的に歩くだけでずいぶん違うと思いますよ。キレイな歩き方で街を闊歩してみるのはいかがですか。
まぁ、そんなこといってもヒールで歩いたこともないので、実際にはぜんぜん違うかもしれないし、そんなこと分かっているということなのかもしれませんけど。
ちなみに、モデルさんの歩き方にもトレンドがあるようで、今は以前に比べるとそんなに膝の位置は高くないです。