2025/04/01

バイトコード入門 その4 バイトコード処理の基礎

Java 24のリリース関連エントリーが続きましたが、再びバイトコード入門に戻ってきました。

今回はJVMスタックに積まれたフレームでどのようにバイトコードを処理するのか紹介していきます。今回は動作を説明するため、個々の命令についての説明は必要最低限とさせていただきます。

  1. 準備編
  2. スタックマシン
  3. バイトコード処理の構成
  4. バイトコード処理の基礎 (今回)

 

バイトコード処理構成のおさらい

まず、バイトコードを処理する構成について簡単におさらいしておきましょう。

バイトコードを実行するために、JVMスタックが使用されるということを前回説明しました。

JVMスタックはスレッドごとに作成されます。ここでのスレッドはOSのスレッドと1対1に対応するPlatform Threadを指しています。Virtual ThreadはPlatform Thread上で動作するので、Virtual Thread用にJVMスタックが作られることはありません。

JVMスタックには、メソッドコールごとにフレームが積まれます。

たとえば、mainメソッドからfooメソッドがコールされ、fooメソッドからbarメソッドがコールされて、barメソッドを処理している場合、JVMスタックにはmainメソッドのフレーム、fooメソッドのフレーム、barメソッドのフレームという3つのフレームが積まれます。

barメソッドの処理が完了し、fooメソッドに戻ってきた時点でbarメソッドのフレームもJVMスタックから取り除かれます。

 

フレームは主にローカル変数用配列と、バイトコード処理中のデータを保持するオペランドスタックから構成されます。

いずれもそのサイズはjavacコンパイル時に決定します。

 

バイトコード処理

今回は動作だけを説明するので、とても簡単なアプリケーションを使用しましょう。

Adderクラスは整数の足し算をするメソッドaddメソッドを持つクラスです。

public class Adder {
    public int add(int x, int y) {
        int z = x + y;
        return z;
    }

    public void static main(String... args) { 
        Adder adder = new Adder();
        int result = adder.add(2, 3);
        System.out.println(result);
    }
}

 

このプログラムが実行されると、メインスレッドに対応するJVMスタックが生成されます。そして、mainメソッドがコールされて、JVMスタックにもmainメソッドに対応するフレームが積まれます。

mainメソッドの中でaddメソッドがコールされると、JVMスタックにもaddメソッドに対応するフレームが積まれます。

この状態を表したのが、以下の図です。

 

では、addメソッド実行の様子を追っていきましょう。

 

addメソッドのバイトコード

Adderクラスをデバッグオプションの-gを使用してコンパイルし、javapでaddメソッドを調べたのが以下です(-gオプションについては、前回を参照してください)。

  private int add(int, int);
    descriptor: (II)I
    flags: (0x0002) ACC_PRIVATE
    Code:
      stack=2, locals=4, args_size=3
         0: iload_1
         1: iload_2
         2: iadd
         3: istore_3
         4: iload_3
         5: ireturn
      LineNumberTable:
        line 3: 0
        line 4: 4
      LocalVariableTable:
        Start  Length  Slot  Name   Signature
            0       6     0  this   LAdder;
            0       6     1     x   I
            0       6     2     y   I
            4       2     3     z   I

ここで使用されているオペコード(命令)を簡単に説明しておきましょう。

  • iload: int型の整数をローカル変数配列からオペランドスタックに積む。_の後の数字はローカル変数配列のインデックス
  • iadd: int型の加算
  • istore: オペランドスタックの先頭にあるint型整数を取り出し、ローカル変数配列に格納。_の後の数字はローカル変数配列のインデックス
  • ireturn: オペランドスタックの先頭にあるint型整数を戻り値としてメソッドを完了させる

この後に実際の動きを説明するので、ここではそんなものぐらいに思っておいてください。

 

addメソッドの動作

では、オペランドスタックとローカル変数配列を含めて、addメソッドの動作を追っていきます。

addメソッドがコールされると、引数がローカル変数配列に格納されます。また、インスタンスメソッドの場合、暗黙の引数としてthisが渡され、それも一緒にローカル変数配列に置かれます。

addメソッドを引数としてx=2, y = 3でコールされた直後の様子は次のようになります。

 

 

ローカル変数配列のインデックス0にthis、1にxの値である2、2にyの値である3が入ります。

上図では分かりやすさのため、ローカル変数配列にx、y、zを記述してありますが、実際にはローカル変数名はコンパイル時に削除され、インデックスだけで扱われます。

ただし、前回説明したようにコンパイル時に-gオプションをつければ、LocalVariableTableが付随し、インデックスと変数名の対応が付けられるようになります。

 

はじめのiload_1はローカル変数配列のインデックス1の値をオペランドスタックに積むということです。iloadのiはint型を表しています。i以外にも接頭辞はありますが、それは次回説明することにします。

この結果、オペランドスタックには2が積まれます。

 

同様に、iload_2でオペランドスタックに3が積まれます。

 

次のiaddはint型の加算です。

ここでは、「バイトコード入門その2」で示したHPの電卓のように、演算に必要な個数だけ値をスタックから取り出し、結果をスタックに積みます。

加算の場合、演算に必要な値は2つなので、オペランドスタックに積まれていた3と2を取り出し、加算をした結果の5をオペランドスタックに積みます。

 

加算の結果はオペランドスタックにしかないので、オペランドスタックから値を取り出し、ローカル変数配列に収めるのが、次の行のistore_3です。

istore_3なので、配列のインデックス3の場所に加算結果の5を格納します。

この操作が、ローカル変数zに5を代入していることに相当します。

 

残りはJavaのコードのreturn z;の部分です。

iload_3で再び5をオペランドスタックに積みます。

 

そして、オペランドスタックに積んだ値を戻り値として、メソッドを完了させるのがireturnです。

ireturnが完了すると、addメソッドに相当するフレームは削除されます。

 

これでaddメソッドが完了しました。

このaddメソッドはとても単純なメソッドですが、オペランドスタックとローカル変数配列の使い方は変わらないので、これが理解できれば後はそれほど難しいことはないはずです。

ちなみに、最後のストアとロードが不要のように見えるかもしれませんが、気にしない方がよいです。

もし、このメソッドが何度もコールされるようであればHotSpot VMによって最適化されます。

javacでコンパイルした時点では最適化はされずに、本当に必要であれば実行時に最適化されるのです。

 

次回はメソッドコールやオブジェクト生成など、もうちょっと複雑なバイトコードを紹介していきます。また、if文やループなども紹介する予定です。

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